蜩一句

自作の川柳と絵画と写真のページです

2007-01-01から1年間の記事一覧

お隣の薔薇にお年を訊いている

白でいる不安を映す水たまり

胸底の渋の抜けないままの柿

直線が曲線になる愛になる

三人は やはり入れなかった傘

テーブルの上にことりと置く秘密

母さんが呼んでも帰らないカラス

真っ直ぐに歩いた道は九十九折り

芸術の薫り 色 味 にぎりめし

逆立ちで表彰台に上る稲

風見鶏 お尻を向けたまま無風

幸福のてっぺんに建つ白い家

夕焼けをすりおろしてく おろし金

A型に限ってケセラセラはない

逢いたいと思えば逢える ガラス窓

気のせいじゃなかった君のせいだった

ヘタが良い 究めた人が言う言葉

君の前だから虚勢を張った虹

三丁目の夕日が昇り出した街

柿すだれ くぐれば父と母の家

裏側も美しかったお月さま

待ち時間 すぐ思い出に寄りかかる

吊すのがだんだん上手くなるロープ

もう先が見えてしまった赤い橋

風入れて 息吹き返す蔵の花

名月や 欠けた所にいる二人

落ち込んで その上ふて腐れている

ピンチでも もう聞こえない母の声

私からみんな逃げてく 鰯雲

赤燃ゆる 切るに切れない秋薔薇