蜩一句

自作の川柳と絵画と写真のページです

2013-01-01から1年間の記事一覧

喪中葉書 書いて届いて減る味方

跳ねただけ まさか絆が切れるとは

逃げたってどこも火の粉を被る位置

言わ猿になって通した喉仏

迷ってるうちに種火が消えている

甘い夢ばかり囓ってきた前歯

証拠など残さぬ 爪を深く切る

てっぺんを狙って爪を研いでいる

嫌われて塩を撒かれて出てきた芽

幸せをいつか噛みしめたい奥歯

シナリオに介護も入れるメロドラマ

雪積もる五分も掛けられぬ食事

いただいた絵をトイレから玄関へ

あの人を道連れ次の急カーブ

一大事 見事に包む新聞紙

年の差の壁ぶち破る骨密度

頭蓋骨 エックス線にハイ・チーズ

音沙汰を待てば二度鳴る黒電話

急カーブみんな振り落とされちゃった

君にまだ夢中と灰が飛んでくる

青春も健康もすぐ遠ざかる

さきイカに負けを認める顎の骨

恋なんか生まれなかった指相撲

星になったらウインクする約束

生きてると玄関先に旗を立て

迷宮の出口を塞ぐ林檎の木

綿埃 二人の隙を狙ってる

手ぶらでは行けない 夢を持っていく

星になるために磨きを掛けている

メルヒェンのようなふるさと 魔女もいて