蜩一句

自作の川柳と絵画と写真のページです

2013-01-01から1年間の記事一覧

路地裏で昭和が幅を利かせてる

帰ってもコネも仕事も無い故郷

君のせいばかりじゃないよ星のせい

ライオンの檻に入って昼寝する

神の手の届かぬ先にあるボタン

こうなれば誰も要らない大葛籠

要介護 背中の羽をむしられて

秋風や揚羽に淡き加齢臭

自分へのご褒美与え過ぎて熱

何事もなしとはいかぬ 桃だから

死んだふり 優しい夏を期待して

どこへいく浮き草などにしがみつき

消えるまで夢を描いて浮かぶ雲

お見舞いのメロンが不覚にも涙

不安から生まれた雲が浮かんでる

泳ぎっぷりいつも見られている金魚

掬ってはみたがどうするこの金魚

笹舟の沈まぬ程度乗せる慾

電柱の陰からそっと見てる富士

後悔をする頃 赤が消える頃

エクレアと絆結んで太り出す

束の間の闇を分け合う昼下がり

闇の中まさかを踏んだハイヒール

宝くじ当てたら食べる回る寿司

弱虫も毛虫も蝶になる日まで

惨敗の背中に刺さるマットレス

シャワーでは落ちない負けが染みついて

赤い靴履いて矢切の渡しまで

恋情を語る酢の物アジ干物

一匹のマウスを友に引き籠もる